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異訳集_Rockin'on No.6 [ロッキングオン][日記][白日日記]
1973年7月15日 15:15

「19730715_異訳集_Rockin'on No.6_p.34-35」


どもり (changes/DAVID BOWIE)

ある日
自分は突然見知らぬ
他人となるべきだ
その為にだけ私たちは
夜というものをもっている
道端ですれ違った他人に
その瞬間
なるべきだ
そのような予兆
そのような恐怖
だけを硬く
信じるべきだ
発明ではなくまして
発見ではない別の
変容がある
意識は今
視線のようにして私の
あずかり知らぬ彼方を
凝視めている
その遠方から今
の私を見ている
言葉をもたぬ
一人の他人が
崩れた
言葉をもため


色調

海とは、結果である。そこでは全てが自明の理としてある。最早、何ひとつ<初まる>*1ものはない。ただ何気なく、ただ執拗に、くり返し続けるものだけがある。源泉が源泉である限りそれはまた確かに墓場でもあった。

そこには、一切が許されることによって、拒絶されたものの一切がある。おしやられていく。底の方へ。固定された私が背負い込んだ、私以外の重さに頼って、沈んでいく。底の方へ。宇宙の排水口へ。彼方へ。ウルトラマリンの、色の、内部へ。

此処が何処であるかは問われていない。私が何者であるかは責められていない。むしろ、存在の静脈。海という、時の、巨大な腐爛*2死体にたたずむ、あの声。声を溶かしている、あの色彩。

空間を占有しているのは決して時間ではないだろう。時間を誘導しているのは、決して私たちではないだろう。街の雑踏にまぎれて、ぽつねんと、振り向くと、私は、青の本質へと、求心する。


光源 (Album HUKY DORY)*3

自信というのは
甘えだな
つまり
自分自身に対する
徹底さを欠いているということ
そしてこれまで
幸福というのは
みなこの種の
自身*4に満ち溢れることだった
僕も親のように笑いたいと思う
だけど僕は
言葉によって
世界を凍らせることはできず
むしろ
凍りついてしまうのはいつも
僕自身の方だった

街ではそれでも
人々がひしめきあいながら
誇示とか屈辱だとかを
ちらつかせながら消えて行く
僕は流されているが
しかし街も流されているので
いつまでも僕は
街角でうつむいている君と
同じだ

僕は
迫り来る何者かに
屈服しなければならない
だろうけど
大地は透明な不均衡
僕は
つんのめりながら
それでも何んとか
バランスを保とうとして
あらかじめ用意されている
言葉にしがみつくが
しかし
僕の内面から
迫り来る何者かは
言葉よりも速く
巨大であるから
僕は早口になったり
どもったり
結局 黙ってしまう

今は
むしろただ
日常性に埋没すべきだ
秩序というものの毒に
うちふるえているべきだ
原始人のように
光を畏れ
うずくまっているべきだ
それでも願うなら
僕たちが
かかえこんだ
恐怖を
そっと
噛みしめ
じっと
噛みしめているべきだ
苦い
<にくしみ>となるまで
深く眼をつむっているべきだ


理由 (Dead Babies/Alice Cooper)

在るべきものではないものが
今まさに
在るべきでないという理由によって
拒絶された

誰一人として
笑いながら産まれた赤ん坊はいない
ということを
誰もが
さけびながら
登場してくるということの理由を
知ってるか

それが
拒絶だ

私は今日も
強いられたものの大いさ*5によって
盲目であるが
ままよ
死んで行く時は
オギャー
と発して
死んで行こうと言った
自分ではないか

経験が
人の顔に皺を作るだけならば
まるごとまんまの
欲望と
訣別しなければならない
歴史の波止場街で
一杯飲んでいくのも
悪くはあるまい


呼応 (Album KILLER)

中途半端に理解されるよりは
むしろ徹底的に誤解されたい
と願った
僕は
その夜も
呼応を求めぬ
独りの標的であった


風鎖 (21C SCHIZOIDMAN/KING CRIMSON)

今
地獄の業火より
まぶしくも昏い未来は
私たちのものだ
私たちの狂気の勝利だ
私たちの
基盤の敗北だ
私たちは
未来というものの
後姿しか見る事が出来ないから
今
狂いしものの
視線にすがりながら
呼び換した*6感情を
価値とするのだ


引潮 (EPITAPH)

ぬきさしならぬ壁
がそこに
ある
古代の顔のように
ああ
時のデスマスクが
その壁に
埋められている

沈黙のなめらかな
叫びが
私の予感を
まぎれもない意志
へと運ぶ
私をとりまく実体の無い畏怖
実体の無いがゆえの畏怖

どのような種類の輝きも悪
悪夢の色彩に克てない
死体の高笑いが
高まれば高まるほど
私の素顔というものが
決定される

ひとつのことを知るために
棄てなければならなかった知覚
整理された記憶
関係
ああ
そのような混乱を
墓標に刻むべきではない
明日という墓の前に
ぬきさしならぬ壁
がそこに
ある


*1 「初」ではなく「始」ではないだろうか
*2 「爛」ではなく「乱」ではないだろうか
*3 「N」が抜けているのでは?正しくは「HUNKY DORY」か?
*4 文脈から考えると「自信」が正しいのではないかと
*5 「大きさ」だろうか
*6 文脈から考えると「呼び返した」だろうが、意図的な表現だと思われる


20110207 入力者 深谷健一

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