「ニッポンの企画書」始動 [][]
2011年2月24日 22:32
官僚向けフリーペーパー「ニッポンの企画書」

「事業仕訳」から「事業仕掛」へ
「陳情」から「提案」へ



●創刊宣言

◇ 総年間予算90兆円余り。窮乏する国家の予算を、いかに効果的に使うかが、今こそ問われている時はない。抽象的な国家戦略ではなく、具体的な1円からの支出に、国民の血を通わせなければならない。大枠の方向ではなく、個別の具体的な企画案とコストパフォーマンスを重要な問題としてなければならない。

◇ 敗戦のゼロ荒野からスタートした日本戦後社会は、一直線の成長を経て、豊かな社会を実現した。これ以上の加速度のついた成長曲線は望めるものではない。成長過程においては、トップダウンの指針でも、諸外国の成功例を国内にカスタマイズするだけでも、試行錯誤を続けていけば良かった。しかし、すでに日本社会は成長の飽和点を迎え、国民意識の面においても、がむしゃらな成長より、身の丈にあった生活の成熟を求めている。

◇更に、高齢化社会、少子化社会という、世界の工業社会・都市型社会の最先端の状況の中で、もはや明治や戦後社会のように、海外に参考とすべき政策はなく、むしろ、諸外国が日本の今後の対応方法に注目していると言って良い。

◇ 未曾有の状況に対する解答のヒントを持つものは、それぞれのテーマにおける最先端の問題を抱えている現場にしかない。介護、育児、教育、福祉、医療、環境、農業、工業、商業、家庭、健康、娯楽、情報、交通、文化、国際交流などなど、さまざまな領域で活動している個人やNPOの人たちの現場から発した、現状の問題点と解決策を集中させるプラットホームが必要である。

◇「事業仕訳け」ではなく「事業仕掛け」の方が、はるかに必要であると私たちは考え、社会事業企画投稿雑誌「ニッポンの企画書」を創刊する。


●企画の立脚点

◇ 日本の戦後社会のエンジンとなったのは、日本企業と、それを支えたエネルギッシュな日本人である。そのバネになったのは、「戦争で何もかも失った」というハングリー精神であり、近年の中国の驚異的な発展を見るにつけ、国家の成長に必要なのは、国民のハングリー精神であると感じざるを得ない。しかし、私たちは、すでに「何もない状態」へは戻れないのであり、豊かな時代に生まれた子どもたちに、ハングリー精神を強要しようとしても無理な話である。

◇ しかし、私たちは、現在の中国が目指している地点に到達しているのであり。私たちが、この現状に対して、新たな社会イノベーションを起こすことは、やがて、中国やインドの人たちにとっても、有益であり必要なものになりうるはずである。それは、経済的な量を追うものではなく、国民生活という社会環境の質的充実を目指す道であろう。

◇考えてもみて欲しい、年間90兆円を、全く新しい「市場」としてとらえるなら、自動車産業や情報産業がいくつも出来る、大きな経済市場になるということを。しかし、この市場は、これまでの経済市場とは異質である。まず無制限に膨張する市場ではなく、利益の最大化を目指す経済原理とは相容れないということを。

◇かつて「情報社会」という言葉を作った林雄二郎氏は、NPO法案の成立にも多大な貢献をなされたが、NPO法が成立して数年経った時、こう言われた。「NPOはダメだ。税金や寄付金をもらうことばかり考えてる。必要なのは、NPOではなくて、NPEだ」と。NPOとは「Nonprofit Organization」であり、利益を追求しない団体ということになる。林さんが言ったNPEとは「Nonprofit Enterprise」すなわち、自立的に経済活動を続けながらも、利益追求を第一にしない企業こそが必要だと言われたのだ。

◇NPEとは、ソーシャルビジネスを行う、ソーシャルカンパニーのことであろう。すなわち、90兆円の国家予算をマーケットとする、NPEの多方面からの登場が必要なのだと考える。本来のNPOというのは、自立したソーシャルビシネスの領域であったはずなのに、なぜか日本では奉仕活動を行う慈善団体のように扱われてしまった。活動の正当性を訴える情熱だけの陳情活動ではダメだと思う。自らの行動が社会にとって、どれだけ具体的な効果をあけ゜、コストパフォーマンスに優れ、持続的・自立的な社会システムとして定着していくかのリアリティのある提案でなければならないと思う。

◇現状の国家予算は、官僚天下りの諸団体と、旧来の営利追求だけの一般企業に流れていく。この構造を変えない限り、政権が何度変わろうと、どのような離合集散のドラマが起きようが、本質的な社会構造は変わらない。政府だけではなく、現場を生きる一人一人の智慧と熱意が国家予算を通して、日本国内に循環するものでなければ、日本の真の活性化はないと思う。

◇戦後の成功体験がベースにある日本社会の人々の気持ちを、一朝一夕に変えられるなどとは思っていない。しかし、現場からの想いを描くこと、それらが集まるプラットホームを構築することが、私たちのささやかな未来への橋頭堡になればと願うものである。


●発行形態

◇本書の性格から、いわゆる知的好奇心を満たすための読み物ではありえない。具体的な活動を続ける現場の思いと、予算を検討・執行する人たちとを直接結ぶメディアとして刊行する。

◇本書は、心ある中央・地方公務員の人たちを中心に無料で配布していく予定。一部、市販・電子書籍化なども検討していますが、付随的なものとなる。

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